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焼却炉ひとつ建設するにしても、排ガス中のダイオキシンへの不安や、ごみ「これは分別処理がむつかしいなあ収集車が特定地区を走り回ることへの不公平などから、地域住民とのトラブルが必ず起きる。
ごみ政策でも、前提となる制度・法律をどんな形に定めて実行するのかがむずかしい。
社会制度をつくるわけだから、住民や事業者の協力が必須だし、むろん経済面への配慮も欠かせない。
また、そもそも廃棄物(ごみ)は地球の貴重な資源を使い、エネルギーを消費してつくった製品・商品なので、ごみ問題は資源・エネルギー問題にも深くかかわる。
最近は、ごみ問題解決のため、ごみのもとになる製品を減らさなければならないのである。
物をつくる企業も処理責任を負うべきだとか、ごみの発生抑制には国民のライフスタイルを変えるべきだといった議論もあるし、リサイクルも、技術的問題、コストの問題、雇用問題などと複雑にからむ。
このようにごみ問題は、背景にあるさまざまな問題と複雑にからみ合っている。
したがって、出たごみをただ適正に処理・処分するだけでなく、ごみのもとになる製品をつくる段階や消費する段階にまで遡り、ごみの量や質をコントロールしなければ、真の解決にはならない。
そのためには社会システム、経済システムそのものを変革する必要があるし、私たちのライフスタイルも変える必要も出てくる。
社会システムなりライフスタイルはどう変革すべきなのだろう?
それを考えるには、ごみとライフスタイルの関係をきちんと調べ、理解しておかなければいけない。
ごみ問題を考えるときは、何はさておき、ごみ処理の実態をつかんでおく必要がある。
まずは、ごみ処理の歴史を眺めておきたい。
どの国も同じだけれど、都市人口が増えてくると、公衆衛生上、昔は川や空地に捨ててきたごみやし尿が問題を起こすようになる。
そこで時の行政が、いろいろな社会的ルールを設ける。
ごみは伝染病の原因になりやすいから、ごみ処理体制の整備は避けて通れない。
日本の場合、年表のように、1878年のコレラ大流行以来、各都市が本格的なごみ処理計画をつくって実行してきたに。
当初はごみを都市中心部から山間部などに運び出し、埋め立てていた。
しかし、高温多湿で狭い日本だと、ごみの腐敗に伴って病原菌や病害虫が繁殖する。
それを防ぐには加熱殺菌が有効だからと、焼却を重視するようになった。
すでに19世紀の末、敦賀市が日本初の焼却炉をつくった。
以後、大都市を中心に、ごみ処理は埋立から焼却へと移行する。
とはいえ当時のごみは水分が多く、欧米の技術をまねるだけでは完全焼却しにくくて、焼却技術の開発に苦労したという。
また、焼却炉の建設には巨費がかかるため、埋立に頼らざるをえなかった都市も多い。
私がごみ処理の研究にかかった1965年(昭和40年)当時も、全国ではまだ埋立が主流だった。
ちなみに55〜65年ごろの都市部のごみ質は、水分が60%近く、低位発熱量(水分を含んだ状態での発熱量)も1000キロカロリー/s(4184/s)ぎりぎりだったため、しばしば重油や薪などの補助燃料を使って焼却していたら。
水分が60%なら、ごみは重さの半分以上が水である。
当時、ごみ収集車が水をしたたらせて走っている光景は珍しくなかった。
家庭のごみ入れが、木箱やコンクリート箱からポリエチレンバケツに変わったのも1960〜65年のこと(ポリ袋を使うごみ収集が定着するのはずっと後)。
60〜65年という時期は、ごみ収集車もオープン式トラックから密閉式のハッカー(圧縮)車に変わり、衛生的な当時の日本なら、家の中に蝿が何匹か飛んでいてあたりまえだった。
蝿は赤痢菌など伝染病の病原菌をまき散らす害虫の代表だし、一週間で卵から親になるほど繁殖力も強い。
生ごみを一週間も放置すると蝿の温床になりかねない。
そこで週に2回くらいはごみを収集することになる。
こうした歴史があって、生ごみを含む家庭ごみは、いまも週2回は収集している。
このように日本のごみ処理は、人目が密集する都市部の公衆衛生を考え、自治体がサービスの一環としてごみを処理するところから出発した。
つまり、もともとごみの発生源はおもに家庭だった。
しかし産業活動の活発化につれ、産業廃棄物も問題になってきた。
いまの廃棄物処理体制を法的な体系から見ると、以下のようになる。
廃棄物の処理は、「廃棄物の処理および清掃に関する法律」(廃掃法)に従って行う。
一般廃棄物の処理責任は発生源を持つ市町村にあり、かたや産業廃棄物は排出源(事業者)が処理責任を負う。
産業廃棄物は、燃えがらや汚泥など20種類に区分してある。
また廃掃法では、一般廃棄物・産業廃棄物の区分に加え、爆発性や毒性、感染性などのある廃棄物を「特別管理廃棄物」として、別の管理体制を求める。
家庭ごみは一般廃棄物として市町村の清掃部署が処理するけれど、市町村の処理施設には、オフィスや商店街の出すごみも「事業系一般廃棄物」として持ち込まれる。
事業系一般廃棄物(ごみ)は年ごとに増え、市町村の清掃事業を圧迫してきた。
いまは全国津々浦々まで、市町村のごみ処理体制が敷かれている。
収集体制は市町村ごとにまちまちだが、ほぼ90%以上の市町村がなんらかの分別収集をしている。
熱心な市町村は7種類以上の分別収集をするが、ふつうは可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみ、粗大ごみ(家電や家具類)の4つに分ける。
事業系一般廃棄物や一部の産業廃棄物は市町村の許可を受けた収集事業者が直接、処理・処分施設に搬入する「直接搬入ごみ」として処理する。
市町村が直接タッチしない廃棄物には、自家処理分と地域の集団回収分がある。
しかし数値はあくまでも市町村がつかんだ分だから、実態はよくわからない。
さて一般廃棄物の発生量は、いくらかの変動はあるものの、最近は全国で年に約5000万トン。
ひとり一日あたりだと200g前後を推移している。
ごみは、まず収集したあと、処理・処分施設まで運ぶ。
収集は、市町村職員がする場合と外部業者に委託する場合があるが、外部委託の比率が少しずつ上がってきた。
ごみの収集・運搬コストはたいへん大きく、一般廃棄物なら、収集・運搬コストが全処理費の70%に及ぶことも珍しくない。
産業廃棄物の場合も、県外処理など長距離輸送のケースが増える傾向にあり、収集・運搬コストが処理コストをつり上げる。
そのため、いかに適切な収集・運搬システムをつくるかが、廃棄物処理の要点となる。
これからは分別収集が主流になり、廃棄物処理の中で収集・運搬プロセスがますます重要な位置を占めるだろう。
ごみを最終処分する前に、減容化(容積を減らす)、無害化、安定化(安定な性質にする)などにすることを中問処理という。
日本の場合、一般廃棄物では焼却処理がおもな中間処理となる。
いま収集ごみの77.4%は焼却し、直接埋立処分する分は5.9%にすぎない。
とはいえ焼却しても焼却灰が出るから、いずれはもとのごみの20.2%までが最終処分(埋立)に回る。
資源化(リサイクルなど)の比率が少しずつ上がってきている。
焼却炉のうち、規模や基数の面でいちばん多いのが都市ごみ焼却炉。
いま日本のごみ焼却炉の数は世界一で、約1700基も動いている。
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